おんぷちゃんのひとりごと♪ Byたかまつ楽器

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ベヒシュタインイベントin東京 2日目

台風に足止めを食らいながらも、なんとか2日目のメインイベントである、
末永 匡先生とシュルツェ社長による
「新旧ベヒシュタイン比較コンサート&トークイベント」に行きました。
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これまた90年ほど前のベヒシュタインBと、現行フルコンD。
これを弾き比べながら、レクチャーコンサート形式で進めてくれました。
その間、ベヒシュタイン社社長のシュルツェ氏のお話しも交え、楽曲とピアニストと、そしてピアノという楽器との関わりが非常に分かりやすかったです。
なんせ末永先生の演奏が素晴らしい!大感動でした(#^.^#)

一番印象的だったのは、やはり音の減衰です。
現行モデルのDは、音の延びも良く瑞々しい華やかな音。
対して90歳のベヒシュタインBは、さらに音の輪郭がはっきりとし、そして音の減衰が早い。

同じベヒシュタインであっても、非常に音の減衰に幅があるので、ペダルの踏むタイミングはかなり異なるみたいです。

また、リストがピアノにオーケストラの音(立体感)を求めたということで、昔のベヒシュタインは音域ごとに音のカラーがはっきり違い、ゆえに曲自体に奥行を出しています。
側板が1枚板でなく、数枚に分かれて作られていることも影響しているでしょう。

シュルツェ社長もおっしゃっていましたが、やはり90年前の聴衆と、現在の聴衆の求める音は異なります。
ホールも巨大化しましたし、人々が聴く音楽もかなり変化しました。
ピアニストや作曲家がピアノに求める音、それに応えるべく職人たちはピアノを作ってきたわけですから、時代時代によってピアノの音作りが変化していくのは当然のことなのかもしれません。


今後も聴衆の耳は変化し続けるでしょう。
質の高いコンサートや、このようなピアノという楽器を知る、音楽業界について知ることができるようなイベントが数多く行われれば、聴衆の耳は肥え、演奏家の腕も上がり、ピアノの音もより素敵な音を求められます。
そうすれば、未来のピアノはきっと、もっと素敵な音を奏でてくれるはず。

もしかしたら90年後のベヒシュタインの現行モデルは、今の90歳のベヒじいちゃんのような音が鳴っている、なんてこともあり得ますよね(^_^)

でも、逆の現象も起こる可能性はあります。
私たちは楽器店として、音楽教室を運営する立場として、本当の意味で音楽を愛し、本物の音が分かる『音楽愛好家』を育てなくてはならないと思います。

50年後、100年後のピアノが、素晴らしい音を奏でていることを願って。


2分おんぷ@たかまつ楽器
by t_gakki | 2013-10-19 10:36 | スタッフ雑談NOTE