16分おんぷです。
去る日曜日、私は奇跡のような1日を過ごすことができました。
以前からウェブでも、そしてこのブログでもご紹介していた
『イヴ・アンリ先生公開レッスン&レクチャーコンサート』
が、たかまつ楽器サロン『ピアーチェ』で開催されたのでした。
アンリ先生ご到着から私には嬉しい驚きの連続でした。
12:00~の第1回公開レッスンでは有名なショパンのスケルツォ2番をご指導下さいました。レッスンを受けたのは当教室若手講師でしたが、
音楽理論・和声・構造を理解したうえでの音作りのご指導で、受講者は
見る見るうちに音が変わっていきまるで「MAGIC」を見ているようでした。
1時間のレッスンがあっという間に終わり、数分の間をおいての
レクチャーコンサート。
調性による関連付けからショパンとドビュッシーの音楽を自由に行き来してのプログラムは、日本人演奏家のプログラムには見られないものでした。
機能和声内で作られたショパンの響きと、同じ調性・似た雰囲気を持ちながら、機能和声から一歩踏み出したドビュッシー独特の響きのコントラスト・・・
美しいショパンのメロディの美しい音色を支える繊細なBASSの音作りと理論に基づいた流れ・・・
サロンという狭い空間でこそ紡ぎ出されるベヒシュタインピアノでしか表現できないあまりに多彩な「SOUND COLOR(音色)」・・・
まさに夢のようなひと時でした。聴講者の口からは感嘆と賛辞ばかりが・・・
昼休憩(と言っても3時過ぎから4時までの1時間弱でしたが)を挟んでの第2回公開レッスンは、ドビュッシー。別の若手講師がドビュッシーの中でも難曲と言われるエチュードから3曲をレッスンしてもらいました。
ドビュッシーならではのBASS音の質感やペダリングを丁寧に何度も教えてくださいました。
そして、再びレクチャーコンサート・・・なんというパワーと精神力でしょう!!!
終わられてすぐ高松を去られるイヴ先生は最後に特別なアンコール(ショパンの遺作)を弾いてくださり、それがまた素晴らしかった!日本人が演奏するとしばしば情緒に流れやすいこのシンプルな曲で音楽を伝え、聴く者の心に感動を呼び起こされたのです。
その後、さほどお疲れの様子も見せられず、爽やかな笑顔で高松を後になさいました。
さて、今回の『イヴ・アンリ先生公開レッスン&レクチャーコンサート』での感動と興奮の主役はもちろんイヴ・アンリ先生ですが、この感動と興奮を可能なものにした言わば「影の主役」の存在を忘れてはならないと思います。
今回使用したピアノは、ベヒシュタインのモデルの中の
ホフマンというシリーズで、サイズはなんと「1」。そして
サロンは聴講者40数名がやっと入るほどのスペース。
「(以下はベヒシュタインHPから引用したものです)
世界のトップメーカーとして双璧をなすのがスタインウェイ&サンズとベヒシュタインではないでしょうか。私たちがベヒシュタインをお勧めするにはわけがあります。
世界中のコンサートホールの90%以上にスタインウェイが納入されています。もちろんベヒシュタインが入っているホールもあります。スタインウェイが入っている理由の一つに音量の豊かさがあり大きなホールでも良く響くように設計されています。それに対してベヒシュタインは過去、王室に納入されていたこともあり貴族に好まれるクリスタルな音色が特徴で、大ホールというよりはサロンコンサートなどでよく使用されていました。
大ホールでの演奏ではなく、家庭で楽しむのであれば音量の豊かさより美しい澄んだ音色でタッチによる変化のつけやすいベヒシュタインをお勧めしています。」
そう、これまでピアノのリサイタル・演奏会というと大きなホールで、スタインウェイで、という構図が一般的でしたが、ショパンやドビュッシーが作曲していた時代、主に自作曲を演奏していたのは貴族のサロン(客間)など
。さほど広くないサロンで豊かな色彩を余すところなく表現できるピアノとして発達したのがベヒシュタインなのです。
音楽を聴くスタイルは1つである必要はありませんよね。
2千人もの聴衆を収容可能なホールの最後列まで美しい音色を響かせるスタインウェイもいいけれど
、数十人の聴衆とともに「ピアノが囁く無限の声」を共有・共感できるこの幸せを実現できるのはベヒシュタインだからこそだと、この日のお客様は実感なさったことでしょう。
イヴ・アンリ先生、またのご来高を心よりお待ちしております。